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Q431★pHの範囲に関する質問です。pHは「[H+][OH-]=10-14」の関係式から、ゼロから14までとされていますが、マイナス値や14を超える値はあり得ないのでしょうか。例えば、3.5%の塩酸はpHゼロのようですが、それより濃い塩酸もありうると思うのです。また4%の水酸化ナトリウムがpH14だとすると、それ以上の濃度はpH15などになると思うのです。なぜ、pHがマイナスや15以上の値を、誰も言わないのでしょうか。pH計で測定したら、どのような値を示すのかも気になります。


ご質問ありがとうございます。
先に結論から申し上げますと、マイナス値や14を超えるものは存在します。ただし、pHが0から14までの範囲を超える場合、pH計は正確に動作せず、pHという指標もほとんど役に立たなくなります。そのため、0から14までの範囲を超える場合、pHではあまり議論されません。
これはpHは常に反応相手として水(H2O)を考えているためです。濃厚な酸の場合、H2Oの量が少ないため、見かけ上pHが大きくなる(酸として弱くなる)ということになりますが、決してそんなはずはなく、濃厚な酸は酸として強いです。
このように、pHが0から14までの範囲を超える場合は、pHではなく、ハメットの酸度関数 (H0) を用いて議論を行います。濃厚な酸の反応相手として水(H2O)よりも酸性の強いもの(例えば酢酸)を用いて考えます。その後に、得られた値を用いた酸の水中での電離定数(例えば酢酸の水中での電離定数)を用いて補正することで、濃厚な酸の水中での水素イオン濃度に変換することができます。

ハメットの酸度関数 (H0) = –log h0
h0 = KBH+(CBH+/CB)
KBH+: 濃厚な酸の反応相手の水中での電離定数(例えば酢酸の水中での電離定数)
CBH+: 濃厚な酸を含む反応相手の濃度(例えば酢酸の濃度)
CB: 濃厚な酸を含む反応相手の電離種の濃度(例えば酢酸アニオンの濃度)

このようにして得られたハメットの酸度関数 (H0) を用いれば、極めて強い酸であっても、その強弱を定量的に議論できます。例えば、以下の物質のハメットの酸度関数 (H0) は、おおよその値として、

5% 硫酸: –0.02
100% 硫酸: –12
トリフルオロメタンスルホン酸: –15

となります。負の値に絶対値が大きいほど、酸として強い、ということになります。

高3 (KH) 2025/06/09