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Q433★石炭を高温にしてフェノールを得て、そのフェノールをホルムアルデヒドと反応させたらフェノール樹脂はできますか?調べてもなかなか出てきません。もしかしたら順序が違うかもしれないし、石炭から得たフェノールではフェノール樹脂はできないのかもしれません、どのようにしたら石炭からフェノール樹脂ができますか?

フェノール樹脂は,フェノールとホルムアルデヒドを反応させて作ります。
もちろん石炭から作ったフェノールでも可能です。

フェノール樹脂が大量生産できるようになったのは,フェノールの合成法が確立した後ですが,1872年にBaeyerがフェノールとホルムアルデヒドの反応を報告した時代では,フェノールは石炭から抽出していました。

石炭からフェノールを取り出すには、まず石炭を空気を遮断した環境で加熱分解し,液体のコールタールを作ります。
このコールタールから水酸化カリウムなどの強いアルカリの水溶液でフェノールを抽出する事ができます。
得られたフェノールにホルムアルデヒドと水酸化ナトリウムを加えて加熱することで樹脂となります。

実際にはタールからの抽出物にはクレゾールなどフェノールとよく似た化合物が混ざっているので,純粋なフェノールだけを得たい場合は沸点の違いを利用した分留操作が必要となります。

最後にこれらの石炭の熱分解,タールからの抽出操作,フェノール樹脂の合成実験は可燃性,有害ガスの発生や強酸,強アルカリを扱う危険な操作です。
もし実験を考えている場合は,必ず専門の設備と指導者のもとで行ってください。


関連する文献、サイトの情報もお知らせしておきます。

■有機合成化学 第35巻第2号 P138-146
「フェノール製造プロセスの推移」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/35/2/35_2_138/_pdf

■産総研北海道センター(旧北海道工業技術研究所)技術資料一覧 技術資料10
「タール油からの有用化学物質の分離法」
https://unit.aist.go.jp/hokkaido/technote/TN10.htm


■フェノールフォーム協会のホームページ
「フェノール樹脂とは?」
http://www.jpfa.org/withthe_phenolicfoam/index.html


中1 (AM) 2025/07/22